とても当たり前の話なのだが、無料放送の場合には視聴者が意識することが少ない。
民放テレビは CM で成り立っており、NHK は直接徴収、ネットでは YouTube は無料、Abema は無料+有料会員、Netflix は月額、Amazon Prime Video は会員制だ。それぞれのプラットフォームがどのように収益を得ていて、それが企業に利益をもたらしているのであれば品質を落とさない限り継続されていく。仮に赤字の場合は経営判断となる。経営者が変われば採算が採れない事業は打ち切ることもある。
番組にスポンサーする企業は費用対効果を考えることもあるし、短期的な費用対効果は考えないこともある。直接の商品に対する対価(売上)とすることもあるし、企業のブランディングに資すると考えることもある。あるいは社会貢献やメセナの一環として支援の代わりにスポンサーすることもある。

さて、コマラボは弱小 YouTube チャンネルで収益を得られる登録数を達しているものの、そもそもの投稿数は限られていることもあり、実際の収益は無いに等しい。
出張撮影・配信は少なくとも交通費はかかる。ガソリン代・高速代・駐車場代を入れても4000円程度ではあるが、それさえ回収できない。我々は趣味だから良いと言えば良いのだが、本来的にはイベント全体として収益が出る構造になっていなければならないと考えている。

上の図で示すところの [製作費] がコマラボ持ち出し(イベント主催者の負担ゼロ)だとして、では他をカバーし、次に備える利益を出すことはできているだろうか?

全員が自分の持ち出しでやっていると多くの人を巻き込みにくく広がりにくい。
原資とランニングコストをどこから捻出するか?
そういう意味で収益までの道のりが短く感じる YouTube が人気なのかもしれない。

では、プロに依頼する製作費を賄うためのランニングコストはどのぐらいになるだろうか?
YouTube 案件の発注コストは競合(撮影・編集)が多いために相当に低くなっていると聞く。たとえば編集だけなら動画30本で10万円以下ぐらいだろう。そうなると月150万件ぐらいの PV (再生数だけではないが)が欲しい。30本で150万として1本5万。そうなると登録数が20万人ぐらい欲しい。それで、ようやくトントン。
企業プロモーション案件を月に数件こなせれば、外注費を払ってもペイするレベル。

登録数20万というのは相当難しい。
ちょっと面白いというだけでは到達できないレベルだし、ニッチなエリアだったら、そもそもの総人口が20万も無いということだってある。
ゼロから20万というのは、今から参入するのであれば気が遠くなるレベルで、なので知名度を持っている芸能人が参入のメインになっていると考えられる。最低限スタッフを雇用するだけの稼ぎを YouTube で得られれば、やっている意味がある。

さて、話をコマラボに戻そう。
コマラボの主対象はボードゲームであり、仮に囲碁将棋連珠チェスバックギャモンポーカーなどすべてを入れても J リーグ全体には追い付かないだろう。J3チームぐらいであれば同等かもしれないけども。
そして、ボードゲームは興味が無い人はとことん興味がない。広く薄くファンになってもらうことは難しく、狭く濃くファンになってもらうしかない。あるいはボードゲームそのものというよりワイドショー的に「藤井君が何食べた」みたいな情報系にすれば少しは広がるかもしれない。

将棋はコンテンツに恵まれており無料で見られる映像中継も多い方だ。
ただ、この状態がいつまで続くのかわからない。かつてはあった NHK 竜王戦放送やニコ生叡王戦は無くなってしまった。
アベマだっていつまで無料で続けてくれるのか分からない。アベマ単体だと巨額赤字だと聞く。
つまりは、もっとお金を出そうということである。
今までは主に新聞社がスポンサーとなる棋戦のおかげで、将棋はニュースとして取り扱われてきた。新聞を購入していない層でもネット上で十分に情報を得られてきた。
これからはそうはいかない。
もし映像を見たいのであれば、少しでもいいから何かの媒体に支払い続けるべきだろう。
名人戦棋譜速報、モバイル棋譜中継、新聞社の有料アカウント、アベマプレミアム、ニコ生プレミアム、あるいは新聞全紙を購読してもいい。何らかの現金収入が確保される道を残しておかないと、その道すらなくなってしまう。

コマラボは、まだしばらくは自腹で続けていくだろう。
収益が得られるので有れば長く続けていくだろう。

(@totheworld)